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ウルIVの続編ではない,新しいストリートファイター

以上が開発バージョンをプレイして気付いたシステム上の変更点だが,では,ここから見えてくる本作のバトルデザインはどうようなものか。

 「ストリートファイターIV」シリーズは,「ストリートファイターII」の“差し合い”の面白さをベースに,必殺技キャンセルによるコンボの自由度と,セービングアタックによる“後の先”の駆け引きという,モダンな格闘ゲームの要素を加えたタイトルだった(関連記事)。しかし,「ストリートファイターV」は,少なくともその延長線上にあるタイトルではない。
 筆者が,そして同席したヨシヲ氏が感じた本作のプレイフィールは,一撃がひたすら重く,ハイリスクハイリターンな読み合いに特化した格闘ゲームという印象だった。

 「ストリートファイター」シリーズといえば,伝統的に6ボタン式を採用し続ける,今となっては珍しい格闘ゲームだが,これまではただ通常技の種類が豊富なだけで,弱/中/強という攻撃属性に,それほど明確な差が設けられていたわけではなかった。
 しかし本作では,改めてシステム面からの再定義が行われている。中攻撃にはケズりダメージが付与され,今までの強攻撃に近い重さを感じるようになった。強攻撃は中攻撃に輪をかけて重厚な一撃となり,一部にはクラッシュカウンターまで用意された。
 多くの人が本作の第一印象として感じる“もっさり感”の理由はおそらくここにある。中/強攻撃のモーションが,打撃の重さを表現するために全体的に大きくなっており,その見返りとしてアクションの軽快さや展開の早さが薄まっているように感じられるのだろう。

ストリートファイターV

 この点がとくに気になっていたというヨシヲ氏に,話を聞いてみた。

ヨシヲ氏「通常技が重たくなった分,やっぱりもっさり感はありますよね。ただ,これは意図的ということが分かりましたし,操作に応じたアクションのレスポンスはとても良かった。これは期待できるんじゃないかと」

 一方で,接近戦はより緊張感にあふれるものとなった。しゃがみ投げ抜けやバックステップ,無敵必殺技キャンセルといった安易な拒否行動はそのことごとくが無効になり,ディフェンス側は相手の仕掛ける読み合いに嫌でも付き合わなくてはならなくなった。そう考えると,ガードキャンセルであるVリバーサルが存在する理由も,なんとなく合点が行くだろう。

ヨシヲ氏「ここも評価の分かれるところですが,個人的には歓迎です。ただ,安定する行動が減ってしまったことで,とくに中級者にとってはハードルは上がったと言えるかも」

 考えて見れば,この“一発の重さ”や“接近戦の恐ろしさ”も,「ストリートファイターII」が内包していた気持ちよさの一つであったように思える。その意味において,本作は「ストリートファイターIV」シリーズの延長でこそないが,まごうことなく「ストリートファイター」シリーズのタイトルといえる。
 もちろん,上記の感想は今回の短いプレイ時間で感じたものであり,蓋を開けてみれば細部が異なることは十分にあり得る。だが,本作のバトルデザイナーが意図していることの一端は,確かに掴めたような気がするのだ。

バトルデザインとは関係ないが,演出面の進化も見逃せない。キャラクターの登場からバトルまでシームレスにつながる演出は3Dグラフィックスならではだ
ストリートファイターV ストリートファイターV
ストリートファイターV ストリートファイターV

 このデザインがうまくいくのかどうかは,それこそ蓋を開けてみなければ分からない。だが,少なくとも筆者とヨシヲ氏は,間違いなく続報が楽しみになってきた。それこそ試遊からの帰り道で,「春麗とかスピードキャラは中攻撃のケズりは無くても良くない?」とか「暴れ潰しの強攻撃にVトリガーを入れ込んで,ヒット確認できたら熱いんじゃ?」などと,小一時間近く妄想を語り合ってしまったくらいに。

 ストリートファイターシリーズの新たなるナンバリング作品として,システムのそこかしこからチャレンジ精神を感じる「ストリートファイターV」。間近に迫ったE3 2015でも,なにやら新情報が公開されそうな予感もする。シリーズのファンはもちろんのこと,新しい格闘ゲームを心待ちにしていたゲーマー諸氏も,続報に期待しておこう。

クリティカ RMT