PS4 『蒼き革命のヴァルキュリア』ファンが集結し、ユトランド王国の国家“麗しの地”を熱唱!

●ユーザー約50人がゲーム内の曲を収録!

 2016年10月8日、都内の録音スタジオにて、『蒼き革命のヴァルキュリア』の国家斉唱イベントが開催された。これはゲーム内の要所で流れるユトランド王国の国家“麗しの地”を、抽選で選ばれた約50名に斉唱してもらい、それを録音するというユーザー参加型のイベント。当日は作曲家の光田康典氏が指揮を担当したほか、チーフプロデューサーの下里陽一氏とディレクターの小澤武氏も録音を見守った。そのイベントの模様をリポートしよう。

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▲収録場所となった都内のアバコクリエイティブスタジオは、ちょっとした小体育館くらいの広さがあり、天井も高い。
 収録に先駆け、光田氏らスタッフが、まずは集まったユーザーにあいさつをするとともに、録音の段取りを説明。小澤氏は「この歌はゲーム中の重要なイベントで流れる合唱になります。当初はプロに歌ってもらうというプランもあったのですが、それでは愛が足りないということで、ユーザーの皆さんに歌ってもらうことにしました。うまいヘタは関係なく、情熱を込めてもらいたいです」とイベントのいきさつについてコメント。また光田氏は「国を救うための歌ですので、ぜひ皆さんのお力を借りられたらと思います」と語った。

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▲参加したユーザーにあいさつをする、左から光田氏、矢澤氏、下里氏。
 続いてはさっそく録音となり、参加ユーザーの方々がイヤホンを装着。そこで聞ける演奏に合わせて、光田氏の指揮のもと、ユーザーが歌声を披露した。なおスタジオ内には歌詞が大きく貼り出されていたほか、指揮者の横にはモニターも準備され、カラオケ映像でも歌詞がしっかり確認できるようになっていた。

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▲指揮者の横にはモニター、後ろには張り紙で歌詞を表示。
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▲指揮者サイドから見る収録風景はこんな感じとなる。
▲『クロノ・トリガー』や『ゼノギアス』など多数の代表作を持つ光田氏。もちろんゲームだけでなく、アニメ『イナズマイレブン』の音楽を手掛けるなど、その活動は幅広い。
 録音では、まず全員の歌声を収録。その後、10人、20人規模といった少人数での歌唱を収録し、最後にふたたび全員での大合唱を収録して、録音作業は無事に終了となった。少人数での録音に関しては、「ゲームで、国家を歌う国民が徐々に増えていくような演出があるので、小規模の歌声を録音し、重ねていこうと思っています」(小澤氏)とのこと。ストーリーとどう絡むのかも、興味深いところだ。
 録音自体はスムーズに流れ、予定時間よりかなり早めに進行。終了後は全員で記念撮影をして、イベントは幕となった。なお収録した曲は、王国の歌姫オフィーリア(CV:早見沙織さん)の歌唱とミックスされてゲーム本編で使用されるほか、参加ユーザーの名前はスタッフロールでクレジット掲載される予定だ。

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▲10~20人単位での斉唱も録音。どんな使われ方をされるのかが楽しみなところだ。
▲ユーザーの歌声は、ミキシングルームでスタッフがチェック。
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▲イベント終了後は、参加ユーザー全員で記念撮影。
●イベント後のインタビューでは裏話も!

 なおイベント終了後には、光田氏らスタッフに、イベントの感想や今後の展開などをインタビュー取材することができた。以下にその概要を紹介する。

――まずは収録を終えて、いかがでしたでしょうか?

光田 想像を遥かに超える、いい形で終わったかなと思います。正直皆さん、こういったスタジオという場に慣れていないでしょうし、うまく歌えなかったり緊張したりもあると思ったのですが、話を聞くとコーラスをやっていたといった人もけっこう多くて、本当にうまくてビックリした感じですね。

下里 この企画はもともと、小澤が言い出したアイデアです。ふつうはプロの方にお願いするのですが、かなり重要なシーンに絡むので、生のリアリティーを出したかったということですね。結果は予想以上といいますか、大成功だったと思います。

――もともと、企画したきっかけは?

小澤 プロに素人っぽく歌ってもらおうという案もあったのですが、それはあくまで“プロのヘタ”でしかないので、ちょっとそぐわないのかなと。あとは歌が使われるシーンが、本当に国民が国や歌姫を思う重要なシーンなので、うまいヘタではなく、感情が必要だったんですよね。となったら、ゲームに熱い思いを持ってくれているユーザーさんが、ユトランド王国に熱い思いを持っている国民とシンクロするんじゃないかなと思ったんです。そこで光田さんにも相談したら、けっこうおもしろがっていただいて、トントン拍子に進んだ感じですね。

下里 小澤から話を受け、おもしろい試みだと思いましたし、本当にそれは重要なシーンなんですよね。ですので、声優さんや歌い手さんを呼ぶより、ユーザーみんなが集まってこの雰囲気のなかで歌うことが重要だし、そういう空気感が必要だと感じました。

光田 ゲーム音楽で、こんなに人を集めることはないですね。通常、プロの方のコーラスを呼んでも、30人とかです。50人となると、もう年末の“第九”合唱のレベルですよ(笑)。

――収録で、気をつけた部分などはありますか?

光田 最初は皆さん、緊張なされていたかと思いますので、リラックスさせようとは考えていました。でも最後のワンテイクなどは吹っ切れて、感情が高まっているのが、指揮をしていても感じられましたね。お帰りの際に会話したときも、皆さんが本当に「楽しかった」と言ってくれて、そういうことは本当に音に表れるんだなと、あらためて思いました。

下里 皆さんに、笑顔で帰っていただけたのがうれしいです。ある意味ゲームの素材を録るためにこちらがお願いして、ノーギャラで遠方より来てもらっているのに、最後は「光田さんとお話して楽しかった!」と言っていただけたのが、いちばんうれしかったですね。

――ちなみにこの国歌は、ゲームのどこで流れるのでしょうか?

小澤 すみませんが、いまは終盤のほうの、重要なシーンとだけしか言えません(笑)。実際にぜひ、見ていただければ。

――作詞を小澤さんが担当していますが、どのような気持ちを込められたですとか、テーマのようなものはありますか?

小澤 オフィーリアの歌は、国歌か、古くから歌われている民謡にしたいと思っていました。国歌に決まって、私が歌詞を書くとなったときに、ならば物語や設定での想いを込めるしかないな、と。歌うことで国民が誇りを持つような歌にしたいというのがありました。そこから世界各国の国歌を聞きまくり(笑)、なんとなく傾向をつかんで、どういったところを誇りに思ってほしいかということをポイントにして、まとめていったという感じですね。

下里 光田さんから「作詞どうしますか?」と言われたときに、ユトランド王国のことをいちばん知っているヤツがいいなと僕は思って、「小澤、書け」と(笑)。いちばん思いがある人がいいですよね、やっぱり国歌なので。

小澤 あと曲については、下里から光田さんに、口ずさみやすい曲にしてほしい、というオファーがあったかと思います。それが国民の曲で、ひいては今日のイベントでも、みんながスムーズに歌えたことにつながったのかもしれません。耳に残るし、歌いやすいですからね。

――全国5ヵ所での体験キャラバンと、体験版配布などのプロモーション展開もスタートします。

下里 “バトル体験版 Ver2.0 プロダクトコード”は、TGSに来られた方などに配布していたものですが、10月15日より開催される体験会に来られた方にも配布しますので、ぜひご参加ください。じつはもうひとつ、体験版を企画していまして、鋭意制作中です。もうすぐ皆さまのお手元にも届けられるかと思いますので、情報の続報をお待ちください。

――ズバリ本作の開発状況は、いかがでしょうか?

小澤 難しいところですが……85%くらいでしょうか。要素は全部入れ込んで、最後のバグ取りやブラッシュアップなど、調整段階には入っています。

――では最後に、発売を待ちわびるファンに、ひとことメッセージをお願いします。

小澤 私のわがままで企画したこのイベントで、何名の方に来ていただけるのかと正直不安に思っていましたが、多くのご応募があって本当にありがたく思っています。あらためて、これだけ期待していただいていることをひしひしと感じましたので、そこに応えられるように、これから製品版アップに向けて最後のひと絞りをがんばっていこうと思っています。よろしくお願いいたします。

下里 今回はいろいろ、新しいグラフィックにしたりゲームシステムにしたりという試みもしているのですが、音楽にしても、プレイステーション4というところで、最高の音楽にしてくださいと光田さんにオファーをしました。かなりいいものができたと思いますので、ぜひ音楽も楽しみにしていただきたいです。ご期待ください。

光田 今回は本当に、いろんな試みをしました。僕がゲーム音楽をやってきたなかで、いちばん盛りだくさんだったんじゃないかなと思います。この歌唱イベントも含め、オーケストラ録音などもありますし、ほかにもおもしろい音楽表現を試みたりもして、それがいい形でおさまっています。ぜひゲームをプレイしていただき、シナリオもグラフィックももちろんですが、音楽も楽しんでいただければと思います。

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▲ラストは『ヴァルキュリア』っぽく、敬礼シーンでフォトセッション!
『蒼き革命のヴァルキュリア』公式サイト